平成28年2月9日(火曜日)
前回記事からの続きで、築30年ほど経ったメンテナンス状態があまり良くないRC造の案件について。
激しく劣化している斜壁(しゃかべ・しゃへき・ななめかべ)の改修をどうするか・・・・・・・・
からの続きとなります。
斜壁の改修にはいろんなやり方があります。
絶対にこの方法じゃなきゃ、という唯一の正しい方法はありません。
ただ、間違いなく言えるのは、この物件に関しては新築時の状態に戻す原状回復的な工事はNGです。
なぜなら、既存では斜壁を普通の外壁と全く同じように仕上げてあるからです。
そもそも、ここまで斜壁が劣化してしまっている原因の一端がそこにあるのです。
以前からNPO法人雨漏り診断士協会がしつこいぐらい啓蒙し続けていることですが、斜壁は【壁】ではなく【屋根】なのです。
この認識をしっかり持っておかないといけません。
斜壁を普通の壁と同じ仕様で施工することはトラブルを招く原因になります。
まず、何と言っても雨漏りが起きやすくなります。
これは当然の結果です。
通常の屋根と同じように雨を受け止める面(斜壁)に、普通の外壁と同じ塗装工事しかしてないわけですから。
それで雨漏りしないのであれば、極端な話、屋根に瓦を葺く必要がないわけです。
全ての屋根を塗装工事で仕上げてしまえば安上がりになります。
そんなバカな話はないわけですが、そのバカなことをしてあるワケです。
運良く雨漏りしないとしても、湿気や結露の原因になります。
これまた当然のことです。
既存塗膜の防水性が落ちるにしたがってコンクリートに雨が浸透することになります。
コンクリートの水分量が増えるのは自明の理です。
そして、もっとも怖いのがタイル外壁の剥落事故です。
斜壁を外壁の延長線上と考えて外壁と同じようにタイル貼りで仕上げてある建物があります。
10年~20年前は一般的なよくある工法でした。
しかし、タイル外壁の剥落事故が相次ぎました。
屋根をタイル張りにしているのですから当然のことです。
話を戻しますが、斜壁は屋根なのです。
ですから、屋根あるいは陸屋根と同様に仕上げるのが大原則です。
そんなワケで、本物件の斜壁も屋根として扱い、屋根として改修工事をする必要があります。
選択肢は大きく分けて4つあります。
1)アスファルトシングル葺き
2)金属屋根葺き
3)塗膜系防水
4)塩ビシート防水
今回は安全性、防水性、耐久性、費用対効果の面から塩ビシート防水(機械固定)をお薦めする予定です。
一般的にはアスファルトシングル葺きなんでしょうが、建物の形状と高さを考慮して塩ビシートのほうが安全という判断です。
いずれにしても防水の前に下地処理がたいへんですが。
剥落部や浮いてる部分の処理にかなり手間がかかりそうです。
とは言え、当たり前のことを当たり前にやっていくしかありません。
1つずつ丁寧にやっていきます。
ではでは。
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興味がある方は是非読んで(聴いて)みてください。