下地の状態をよく確認します。
この建物はウレタン防水の密着工法(通気緩衝シートを使用しないで直にウレタンをつける工法)で施工されていました。密着工法は充分乾燥させた下地へ施工するなら問題ないのですが、屋上のような厚い保護コンクリートで覆われた場所などは中まで完全に乾燥させるのが難しく、防水層で蓋をしてしまうと残った水分の蒸気等が逃げ場を失いやがて防水層を持ち上げ下地から剥がしてしまいます。これが防水層の膨れ現象です。
この膨れを抑える工法として内部から上がってきた蒸気等をシートの中へ逃がし任意の場所(脱気筒等)まで送る通気緩衝工法があり、直接雨のかかる屋上やルーフバルコニー等に適した工法と言えます。
この建物でも膨れや破断が多く見られました。
この建物では漏水や防水層内部に洗浄水が滞留する恐れがあるので洗浄溶剤で丁寧に拭き取り洗浄しました。
脆弱部分を取り除き、通気の妨げにならないよう補修します。ここで防水層を密閉してしまうと前回のウレタンから膨れてしまい通気緩衝シートが意味を果たさなくなってしまいます。
プライマーを塗布し、通気緩衝シートを張り付けます。パラペット部分のウレタン作業が先行してますが、取り外したアルミ笠木の置き場が無く平場施工前に笠木を取り付けられるよう工程をずらしています。
シート同士の突合せ部分にジョイントテープを張り付け絶縁します。
シートの端末をウレタンで丁寧に塞ぎます。このウレタンが硬化したらシートの工程は終了です。
前方に見える筒状のものが脱気筒といって、シート内や下地コンクリート内を通る蒸気等を防水層の外に逃がすための物です。
ウレタンレベリングタイプ(勾配に添って広がる粘度の低いウレタン)を平場全体に塗布します。
ウレタンレベリングタイプをパラペット・架台・平場等全体に塗布します。
トップコートを塗布し、全体の仕上りを確認します。
問題が無ければ終了です。